韓国への対抗措置をやめ、話し合って元徴用工問題の公正な解決を!
日本政府が7月4日から半導体材料3品目の韓国向けの輸出管理を厳格化したこと、また8月2日にも輸出管理で優遇措置を取っている「ホワイト国」から韓国を除外することを閣議決定する方向です。さらなる日韓関係の悪化は必至です。
政府は否定しているが誰が見ても、元徴用工問題の対抗措置に見える。韓国に大打撃を与える経済問題が同じテーブルで議論を交わし問題の改善が物別れに終わったら、やむを得ず今回の処置に踏み切ったというのが道筋だろうと思うが、今回のような突然の決定はなぜ今なのかを疑問を抱かせる。元徴用工問題の対抗措置としか思えない。
さて、元徴用工問題であるがこの問題は歴史認識で人々の評価が分かれる。
「日本は先の戦争で朝鮮に侵略して植民地化」したのかどうかということと「植民地化」が悪い事なのかどうかのとらえ方で判断が分かれる。
第二次世界大戦直後は一般に「植民地化」は悪い事ではなかった。当時の戦勝国も多くの植民地を持っていたので、悪い事であるとみなされていなかった。今の時代にどこかの国を植民地支配することは、誰もが違法だと考える。そんなことをやる国は国連の制裁を受けるだろう。だが、戦前は日本の誰もが(共産党を除き)合法だと思っていたし、欧米中心でできている国際法も合法だという立場だった。
日韓基本条約と請求権協定が結ばれた当時(1965年)も、ちょうど5年前に国連総会が植民地独立宣言を可決し、どんどん独立国が増えてました。しかし、欧米の植民地宗主国はその総会決議に反対や保留し、武力で独立運動を弾圧していて、植民地支配は違法だという国際法が確立されたと言える状況ではなかった。
だから(韓国側が)条約交渉において違法性や賠償を日本に求めたが、日本は当時の国際法に則って拒否し、韓国側も妥協したわけです。故に日本は朝鮮に対して謝罪も賠償もしていないのが現状です。法的にはそういうものでしたが、そうは言っても多大な迷惑をかけたことを承知して、5億ドルを財産請求権名目で経済協力(無償供与3億ドル及び低利貸付け2億ドル)したのです。
ただ、請求権協定で個人の請求権まで否定されたことにはなりません。日本政府、日本の最高裁、韓国政府、韓国の大法院の4者が、いずれも、被害者個人の請求権の存在は認めていいます。そして、これまではその権利が行使されて、政府側が裁判に敗訴した場合、韓国政府が、元徴用工の権利行使に支払いをし、今までに620億円の支払いをしています。
しかし、今回の韓国大法院の判決は「賠償」請求権を問題にしています。賠償というのは、国家が行った不法行為に対してふさわしくお金を支払うものです。戦後の日本は、サンフランシスコ条約に基づき、いくつかの東南アジアの国との間で賠償を支払いました。そこには韓国は入っていません。
つまり判決は、財産上の請求権問題は請求権協定で解決したかもしれないが、この協定では「賠償」請求権が規定されていません。だから不法行為をした日本に対する元徴用工の賠償請求権は残っているということなのです。請求権協定の枠内で(解釈で)問題を解決しようというのではなく、請求権協定が間違っているから(日本の不法行為を認めていない部分は少なくとも欠落していると言えるから)解決が必要だということなのです。
戦後世界で植民地支配からの独立国がたくさん誕生する中で植民地支配が違法であるという認識が深まり定着しています。そのような時代の変遷の中で生まれた判決なんだろうと思います。しかし、国際的にこの判断が支持されるかどうかは疑問です。欧米の植民地宗主国が支持すれば自らが当時の植民地国に訴えられる恐れがあるので支持しないでしょう。そのことは韓国は承知しているので問題を国際的な場に持ち出したがらないのではないでしょうか。国際的には欧米のかつて植民地を持っていた国が主導権を握っているからです。
もし、日本が先の戦争を反省しているのであれば、真摯に韓国と話し合い公正な解決策を引き出すべきです。韓国の国民は日本が当時の法に寄り添い、植民地支配の違法性を認めず、謝罪しないので戦後が終わらないのです。安倍首相が靖国神社を参拝することなど、反省するどころか反対の態度を示しているのでそのことに余計に油を注いでいます。今回の日本の経済問題で対抗措置を行使するのはさらに関係が悪化するだけで何の解決にもなりません。経済で抑え込んでも恨み憎しみは消えないからです。韓国ではいまだに秀吉の侵略に「恨み」を持っている人がいると聞いたことがあります。日本の教科書では「秀吉の朝鮮征伐」と数行記述されてるだけで、7年間も派兵していたことを知らない人もいます。恨みや憎しみを解消する政策が必要なのではないでしょうか。
# by artunion5436 | 2019-07-31 09:25 | カスケ通信